不登校っ子、新学年に向けて復帰準備をする。
先週、ふたりの中3生が
受験に臨みました。
一昨年、中2の夏休み明けに
同級生達からいじめられ、それが原因で
不登校になった彼女たち。
勉強は得意ではなかったけれど、
学校の授業の大切さはわかっていて、
中3からは授業を受けたいと
強い思いのあったふたりでした。
復学に向けて準備をしていました。
なぜって?
どうしても公立の高等学校に
進学したかったからです。
公立高校を受験するためには…
彼女達の場合、学校の授業に出ることは
希望の公立高校を受験をするために
必要な条件でした。
兵庫県の場合、公立高校の入試は
持ち点となる内申点250点に
当日の学力検査250点が加わり、
合計500点中の得点で決まります。
その中でも、実技4教科の
内申点は150点を占め、
合計500点中の3割になります。
勉強の苦手な子にとっては
実技教科は加点要素になります。
授業態度の積極性や作品の仕上がりなどが
合否を左右します。
2人とも不登校になる時から、
遅くても中3からは復学すること
を決めていました。
学年主任や担任の先生にも
いろいろと相談していました。
いじめの張本人と別のクラスにしてほしい
不登校同士を同じクラスにしてほしい
通えなくなった経緯や原因を伝え、
対応してもらえるかなど
新年度に向けて先生と何度も
話を進めていました。
またいじめられるかもしれないので、
私とはロールプレイングもしました。
例えばこんな風に。
私がいじめ役をやります。
「こいつら不登校のくせに
学校来てるぜ。バーカ。
消えろ、うぜえんだよ」
こんな風に言われたら?
目を合わせないで、すっと立つ。
動揺しないでおこう、とか。
そして中3の1学期始業式前日、
当日の進行や移動について
打ち合わせをし、迎えた当日。
なんとか新しいクラスに
他の生徒さんと一緒に入室できました!!!
ここ、一つ大きなポイントでした!
新しいクラスで他の女子生徒とも
話をすることができ、
彼女たちは本当に喜んでいました。
半年間の不登校を経て、
学校に戻ることができたことは
一つの成功体験にもなりました。
前日は緊張のあまり眠れなかったり、
震えが止まらぬほどの恐怖もあったそう。
中3は頑張りたいという気持ちを強く持ち、
いいスタートが切れたように感じてました。
私が我慢すればいいので
ところが始業式の日、教室では
気になることが起こりました。
二人が教室を出た途端、
教室の引き戸が閉じられる。
施錠をされたり、
席についているときに、
足を引っ掛けてきて、
知らん顔されたり、
目の前でからかう様な言動を
取られたり。
半年ぶりに登校する女子生徒らが
目を背けたり、うつむく様な態度が
いじめっ子グループの行動を
ますます助長させます。
先生の目が離れる休み時間や放課後、
嫌がらせやからかいは
変わりませんでした。
他の子達もここで彼女たちを庇ったら、
次は自分達がターゲットに
される可能性もある。
先生に相談してみたら?と尋ねると、
「私の気のせいかもしれないです。
勘違いかもしれないんです。
私が我慢すればいいことなので、
いいんです、いいんです。」
そうじゃないよね?
違うでしょう?
でも自分なんてどうでもいい。
私が我慢すればいい。悪いのは私。
彼女の自己有用感がひどく落ちていました。
私なんてどうでもいい。
不登校から復帰させたとしても、
学校外部では何の助けもできず、
学校内で子供達を守る術がないことを
ひしひしと感じました。
神戸のいじめ3原則の一つに
いじめに第三者なし。
「いじめ防止条例」の一番最後に
記載があります。
先生の手が足りないところを
地域や友達がどのように生かしていくかが
これからの課題です。
私も中学の時にいじめられたことが
ありました。
自分が撒いた種だったので、
仕方ありませんでしたが。
当時の担任は話を一通り聞いてくれた後、
物入れのような空間に、椅子と毛布と
「あしたのジョー」の漫画全巻を
置いてくれて、
「休みの時間はここ使っていいから」
と居場所を作ってくれました。
休み時間の居場所が一番困ること、
わかってくれていました。
しばらくして、友人達に謝りました。
ギクシャクした時期が
すごく長かったことを思い出します。
子供達はずっと同じではないんです。
同じ校内環境の中で、どの子にも、
たとえギクシャク期間が長くても、
行事やふとしたきっかけで
少しずつ他者との距離を整える
柔軟さと正義があるはずと
私は信じています。
参考:神戸市いじめ防止条例
https://www.city.kobe.lg.jp/documents/7557/20190401.pdf
神戸市適応指導教室
話を戻します。
結局、ふたりとも1学期の登校は
まばらになり、残念ながら、
再び教室には入れなくなりました。
くすのき教室(適応指導教室)に通い、
お昼までそこで自習をし、
数学と英語は週2回、こちらで勉強して
過ごすことになりました。
放課後は週に数回は通う様になりました。
担任の先生の教科だけは
直接教えてもらっていたそうです。
しかしながら学校に通わずに学習権を
行使することはできませんでした。
家庭科や技術、美術など
実技教科の提出で、
内申点の加点につながればと
思いましたが、残念ながら
実技教科の進度すら確認できませんでした。
毎日の配布物もその都度もらう様に
していましたが、欠席者の卓上に
置かれたままのプリント類は
数が足りなかったり、
手元に届かないものもありました。
高校進学に向けて
2学期、進路を決める時期がきました。
二人は県立の多部制高等学校を受験することに
決めました。
わが子も卒業したこの高校は
多様なニーズに
対応してくれる学校で不登校の
お子さんや別の高校を中退してきた子も
たくさん通っています。
先生方の対応も非常に柔軟です。
出願時に出す志願理由書は内申書の代わり、
学力検査はなく、作文と面接ということで、
昨年11月からじっくり取り組み始めていました。
特に志願理由書を書き上げるために、
自分たちの中学生活を振り返り、
自分たちが大切にしたいものを洗い出し、
将来の夢やそれにつながる高校生活を
思い描き、じっくり考えることができました。
全身全霊で書いた志願理由書と
400字から600字の作文を繰り返し書いて、
書くことに集中して過ごした直前の1ヶ月。
1年を振り返り
自分たちの思い通りにはならなかったけれど、
何ができるかをその都度考えて
取り組んだ1年になりました。
高校では中学の勉強の学び直しをしたい、
人と人とのコミュニケーションの大切さも
わかったなどなど、作文の素材になる様な経験も
十分に重ねた1年になった様に思います。
また二人の経緯を聞き、頑張る姿を
心から応援してくれる人たちや
理科の課題や読書感想文など、
一緒に取り組んでくださった方にも
出会いました。
学校という枠から離れても
大人たちや高齢者たち、
不登校や引きこもりの子達も加わり、
いろいろな面々が集まって作る
小さなコミュニティが
もっとあるといいのに。
これから増えてくると感じています。
ふたりの不登校っ子たちの
入試が終わりました。
まずは一段落です。
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